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関口 哲弘; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 261, 1997/11
電子励起による固体表面からの脱離過程は基礎的な物理過程の一つである。脱離生成物の種類や収量が吸着環境(基板との相互作用、スタッキング配向度、クラスター分子数など)に敏感であることが知られているがあまり系統的に研究されていない。本研究は銅(111)基板上に単分子及び多分子層Si(CH)Fを吸着させた系についてSi内殻電子励起により起こるイオン脱離過程を調べた。イオン収量の吸着量依存性曲線はそれぞれのイオン種に特徴的であった。CHやFは1分子層表面で生じ、多層吸着でも大きな増加は示さない。一方、SiX,SiX,SiX,X=CH,Fは約3分子層から生じ始め約10分子層まで増加するが、それ以上吸着量を多くしても脱離収量は増えない。(1)金属基板との相互作用による脱励起過程は約3分子層以下で起こること、(2)イオン脱離は常に最上層の10分子層以内から生じることなどが結論された。